山崎
サカイさんは、自分と関わってる人に影響を受けて、いい感じに流れていくタイプなんですね。
サカイ
基本的に自分の中から何かが出てくるタイプではなくて、吸収して、生まれる方です。
山崎
ほぅ。
サカイ
イベントもそうです。人との会話で生まれたりすることが多いかな。
ツイートとかラインとかの何気ない会話とか見たりすることで、閃いて、形にすることが多い。
山崎
あんまり、自分自分って前に出るタイプじゃないんですね。
バンドをやってる間は自主企画とかやってたんですか?
サカイ
いや、全然。
山崎
じゃあ、バンドを辞めてから、イベントを組んでみようって思ったのには、きっかけがあったんですか?
サカイ
20歳くらいの時に観に行ってたのは、インディーズとしてけっこう人気があるバンドだったりしたから、バンドとお客さんって図式があって距離が遠くてあまり仲良くならないんですね。そうじゃなくて、距離の近いバンドと仲良くなった時に企画に対しての距離も縮まったんです。ちょうど同じタイミングでイベントやってる子と知りあったのもあって、それで初めて、イベントってものを打てるんだって思って。
企画やってみてもいいかなって自分の中でしっくりきたのが、ちょうど29の時で。
山崎
当時はロックな箱でイベントを組んでいたのですか?
サカイ
はい、ロックな箱で。
ライヴハウスにイベントをしたいって言いに行って、企画書ってものを書いてくるんだよってところから教わりました。
「企画書って何を書けばいいんですか」って聞いたら、
「サカイさんはバンドのスタッフとかしたことある?」って聞かれて、
「いや、ないです」「じゃあ、仲良いバンドはいる?」「いや、そんなにいないです」って
ところから始まって(笑)。
山崎
でも、とにかくやってみたいんですっていうのを伝えたんですね。
最初の一本は、めちゃくちゃ大変じゃなかったですか?
サカイ
大変だったぁ。
最初はすごい大変だったから、年に一本位ずつしかやってなかった。
で、一本ずつやっていって、35歳の手前で会社を辞めるんです。
山崎
えっ、それって最初に就職した会社?
サカイ
そうです。
山崎
長い!
サカイ
17年働いて、会社を辞めるんです。
山崎
17年も働いたのに、そのタイミングで辞めようと思ったのは理由があったんですか?
サカイ
ずっと給料が上がらなかったのと、会社に不信感を持ったのと、、。
僕は靴の設計をしていたんですけど。
山崎
靴の設計というと?
サカイ
サンダルとかパンプスとかの婦人靴の設計。
デザイナーさんから、絵を貰って、その絵を見ながら、それをパターンにして、
サンプル作って、製品にしていく。
デザイナーさんからOKがでたら、それを工場に流すっていう仕事。
山崎
技術職ですね。
サカイ
銀座のダイアナとか、ワシントンとか、あの辺は全部やってました。丸井さんとか。
山崎
すてき!良い靴ばっかり。そんな仕事を辞めちゃうって、、。
サカイ
上司に不信感を抱いちゃって、辞めるんですけど。
給料が残業しても手取りで18万とかで。
これ40歳になるまでこれだな、って思った時に、40歳になって20万貰えないのはやばいんじゃないかなって思って。しかも、40歳になった時に、20万もらえないから、仕事変えますっていっても、それも多分やばい気がするって思って、35歳で辞めたんです。
山崎
将来を堅実に考えて、辞めることを選んだのですね。
サカイ
このまま続ける仕事でもないなぁって思ったし、35歳にして、好きなことやりたいって思ったんです。
山崎
でも靴の設計も技術がいるだろうし、17年もやっていた人材が辞めるっていうのは会社にとっても大きな痛手ですよね。引き留められなかったんですか。
サカイ
引き留められました。でも、とにかくもう無理なんでって。
山崎
となると、辞めて何するって決めてたって言うよりは、辞めてから、さて、これからどうしようって感じですか。
サカイ
うん、それで、とりあえずイベントを続けてみたいって気持ちはあったから、
ブッカーになるしかないって思って、CLUB Queに行くんです。
で、話をしようって言ってもらって、2、3時間くらい話すんですが、
結局、サカイ君は雇えないって言われて。
けっこう深い話されたんです。今思うと働かなくてよかったなって。
あの時はわかんなかったけど、今思い返すとわかることが多いし、あの時間は良かったなぁと思う。
ライヴ終わった後に話しに行ったんですけど、それがニードルスってバンドのワンマンの打ち上げ会場の中で後ろの方で真面目な話して、めっちゃ緊張するわって。 すごく覚えてます。
山崎
けっこう、厳しいこと、言われたんですか?
サカイ
まずは下北沢の歴史を知れってところから始まって。
ブッキングの核心めいたことを言われましたね。
山崎
あぁ、逆に優しいかもしれないですね。やってみて辛い、出来ないってなるよりは。
サカイ
そうそう。だから、それがあって今があるのかなって気がするし。
みんなに言われるんですけど、サカイさんは、ブッカ-としてよりは自由にやっていたいと思うから
固定した場所ではしない方がいいんじゃないって。
山崎
ネクストサンデーも電話が来ることがあるんです。
スタッフ募集してませんか、とか。
で、たまに気合いがある人に会ったりするんですけど、夢ばかりが先にいっちゃうと、なかなか難しいですよね。日々のことなので。
サカイ
仕事として割り切れるかってところと、それでもなお、夢が見れるかってとこだと思うんです。
なんか、仕事の延長上でどれだけ大きく膨らませられるかが重要で。
間違えてる人が多い気もします。
山崎
そうですね。想像しているよりはもうちょっと違う感じかも。
音楽聴けるし毎日バラ色!っていう感覚で考えていると耐えられないかもしれないですね。
サカイ
そうですね。九苦しいうちの一楽しいって思った方がいいですね。
山崎
ほんとにそうですね。でもその一があるから辞められないって思いますよね。
サカイ
辛いから辞めたいじゃなくて、辛いって感覚でなく、当たり前じゃないと難しいですね。
山崎
ですね。Queはダメでしたってなったんですね。その時はショックですよね。
それがやってみたいって思い切って行ったんですものね。
サカイ
それで、ハローワーク行きながら、自分のやりたいことを考えたんです。
でも見つからなくて。ブッキングしたいのに何で出来ないんだろうって。
で、ハローワークの帰り道に、北千住を経由して帰るんですけど、
その北千住の乗り換えの通り道の本屋さんにバイト募集の貼り紙があって。
あっ、俺高校生の時に本屋で働いてたなって思って、自分が本屋の仕事がいかに出来るかをべらべらべらって言って、受かるんです。
それで、その本屋で働いてたんですけど、シフトにあまり入れなくて、もう一個やらなきゃいけないなってなって。すごく悩んだんですけど、同じ感じで、ハローワークの帰りに地元の駅の古本屋さんに貼り紙があったのを見て、これだと思って、またべらべら喋って受かるんです。
山崎
やっぱり本が好きなんですね。
私、色んなバイトしてからネクスト始めたんですけど、
本がこんなに好きなのに、なんで本屋さんでバイトしなかったんだろうって後悔してるんです。
サカイ
高校の時に身に染みて思ったんですけど、本が好きなんじゃなくて
本屋さんの仕事が好きじゃないと続かないんだなって。
山崎
あぁ、やっぱりそうですよね。本屋さんの仕事も大変な作業がたくさんありそうですよね。
サカイさん、今はヴィレッチヴァンガードですよね。
ヴィレッチヴァンガードに初めて行った時、新しい文化だなって衝撃でした。
購買意欲を掻き立てられてとても新鮮で、年中行ってました。
あのPOPって、どこに行ってもテイストが同じですけど、あれは一人の方が描いてるんですか?
サカイ
ううん。基本的にあれが好きな人が入ってくるから、どうしても似ちゃうんですよね。
山崎
サカイさんも描くんですか?
サカイ
描きますよ。
山崎
うらやましい。楽しそう!やってみたい。
サカイ
ふふふ。
山崎
ヴィレッチヴァンガードは音楽もこれから流行りそうなものが並んでますよね。
サカイ
僕が働いているのは上野のヴィレッチヴァンガードなんですけど、下北とかとは違って若者文化じゃないんですよね。
基本的に外国人が多いし、下北と同じことをやったら大コケするから、それに合せたことをやらないといけなくて。
山崎
そうか、上野だとそうですよね。外国の方はどんなものに興味を示すんですか?
サカイ
最近は日用品とか多いかな。靴下とかの束とかをめっちゃ買ってたり。
あとは中国の方はドラえもんが大好き。
あと、キットカット。
山崎
キットカット?
サカイ
外国では日本土産と言えば、キットカットというのが定着してるらしくて。
すごい買っていきます。
山崎
えぇー、おもしろい!初めて知った!
サカイ
アメリカの方とか中国の方とか、みんな買っていきます。
山崎
刺激になりそうな職場ですね。
働きながらイベントを組むという生活になって、もう、、、
サカイ
社会人時代も入れたら、10年目ですね。
たぶん、ネクストサンデーの方が半年くらい先輩。
山崎
そっか。私も29歳で始めたから、お互いに29がキーワードっておもしろいですね。
なんかありますよね。30歳手前で、ここら辺で好きなことやってもいいのかなって。
その10年で何本位、イベント組まれたんですか?
数えたことあります?
サカイ
数えてないんです、それが。数えなよってよく言われるんですけど、数えてないんです。
山崎
今は本数も多いですよね。
サカイ
たぶん年間50本位やってます。
山崎
そうですよね。サカイさんと言えばイベント連発してるイメージですもんね。
忘れられないイベントってありますか?
サカイ
あります!
今年に入って、オワリカラってバンドとビレッジマンズストアってバンドのツーマンを組んだんです。
去年の11月位にビレッジマンズストアのライヴを初めて観て、すげぇなって思って、全然面識ないけれど、背中を押された感じがして。
基本的にそんなに規模が大きいイベントが出来てなくて、停滞してた時期だったんです。
古本屋で店長やってたんですけど、東京の片隅の古本屋の店長でイベントも盛り上がってないし、果たしてこれ、40歳になった時にどうするかなって思った時に、ちょうどビレッジマンズストアのライヴを観て、ガツンと来たんです。
あと、その時期に、Queのスタッフの子と話していて、やりたいことはあるんだけど、実際出来てない自分のことををふざけて「いやぁ、僕はもう長くなくていいよ。やりたいこともないし。」って話してたら、ちょうどQueのニイさんがひょこって顔出して「なんかさ、サカイ君、そんなんじゃないじゃん。」って言われたんです。
それで、そうだな、そうだったって思って、その時に印象に残ってたビレッジマンズストアを誘って、
同時期に良いなと思ってた、オワリカラとツーマンやったら面白いなって思って企画て、それが今年の4月に実現するんです。
でも5日前くらいにビレッジマンズストアのマネージャーさんから電話がかかってきて、
「実はうちのボーカルが椎間板ヘルニアになっちゃって立てないんですよね。なのでキャンセルしたいんです。」って言われて、マジかっ!ってなって。
でもマネージャーさんが言うには「ボーカルは30分だったら立ってられるから歌わせてほしい、俺が行かなくてどうすんだって言ってるのですが、とりあえず今は休ませています。」って。
それを聞いて、それはさすがに無理だなって判断して、結局、ボーカルは抜きにして、残りのメンバーでライヴをしようって話になって、それをオワリカラにも伝えたんです。
オワリカラとのやりとりはドラムの子としてたんですけど、その日の夜にボーカルから急に「差し出がましいかもしれないけど、それ、俺に歌わせてもらえませんか。ふざけんなと思ったら申し訳ないけど、俺が歌いたいです。」ってメールが来るんです。すごいな、これはって思って。
それで、リハも何もなく、急遽2曲歌ってくれたんです。
2バンドともステージで「このリベンジは絶対します。主催者のサカイさんがまた絶対組んでくれるから、みなさん待ってて下さい。」って話をしてくれて。
「そっか、やらなきゃな。」って思って嬉しかったです。
それが印象に残ってますね。
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