菊池
きっかけは、、、まぁ音楽が好きで。それと、父親がサックスを吹いてたんですよ。
山崎
へぇぇ。
菊池
だから、家では居間にレコードとオーディオがあって、いつもジャズが流れてたんです。
でも僕が物心ついた頃には、もう外で演奏するのは辞めていたんですけど。
山崎
なんて素敵な。
菊池
家では、父親が好きなものが自然と流れていて。 でも中学とか高校になると、ロックとかメタルとか激しいものがカッコイイ!みたいなのがあるじゃないですか。もちろん僕もそこを通過していて、友達の間ではウルサイ音楽の話をしてるけど、家に帰るとジャズ、っていう、わりと極端な感じでした。
それで、大学に入って、音楽で会社みたいな事を出来たらいいなって子供みたいなことを考えて。
レーベルを作ったんです。レーベルってよく分からなかったけど(笑)。 当時はCD-Rなんか無かったんですよ。カセットテープにダビングして、それを1本300円くらいで売ったりして。
山崎
へぇ!すごい!その音楽は菊池さんも参加していたのですか?
菊池
僕がちょっと下手な遊びでやっていたのも入ってたし、周りの友達バンドも集めてコンピレーションみたいなものを作ったりしていましたよ。
山崎
菊池さん、歌うんですか?
菊池
そう(笑) 歌ったりしていました。絶対向いてないけど(笑)。後は、宅禄したり。
山崎
アコギ?
菊池
エレキ。
山崎
へぇ、エレキで!聴いてみたいー。
菊池
エェ〜(笑)。奥さんが僕のカセットをいまだに持っていて。それが目に入るとめっちゃ恥ずかしいです(笑)。
山崎
菊池さんの音源を聴く会、をここでやりましょう(笑)。
菊池
あははは。みやこさんは音楽活動を通過してないんですか?
山崎
まったくです。ノータッチです。
菊池
確か、何かが好きだったって言ってましたよね?
山崎
あぁ、小学校の時にユニコーンをすごく好きになって。
菊池
いいですよね。民生か〜。
山崎
そうなんです。ほんとに好きになっちゃって。それでユニコーンから辿って、ビートルズとか聴きはじめて。
あまりわからないまま、とにかく民生が好きだと言っている洋楽を聴いてみたい、というのがあって。
菊池
なるほどね〜。
山崎
でもやっぱり私も若い頃はうるさいのが好きで、ニルヴァーナとか夢中になりました。 グランジロックっていうんですか、ああいうのをひたすら大ボリュームで部屋に籠って聴いてましたね。
菊池
でも、自分でギター弾いてみたい、とはならなかったんですか?
山崎
そうなんですよね、不思議なんですけど。多分、主役になりたくなかったんでしょうね。
菊池
ほぉ。
山崎
はじっこがいいなって思ってたんじゃないかなぁ。
菊池
リスナーですね。
山崎
そうですね、完全なリスナーです。菊池さんはライヴとかやってたんですか?
菊池
やってましたよ。大学サークルに入ってたんで。
僕は本当に音楽の基礎が全く無いんですが、国立音大の方と仲良くなって。音大生3人プラス僕で(笑)。
音楽理論をしっかり身に付けたした人と一緒に、音楽の基礎が全く無い僕が演奏するって言う(笑)。
山崎
おもしろそう。音楽の基礎がないって言っても、子供の頃から日常でジャズを聴いていて、そこからロックとかにいってるから、作る曲は絶対面白いですよね。
菊池
どうなんでしょうね。自分では面白いと思ってはいましたけど。
山崎
逆パターンは多いと思うんです。ロック、ポップを聴いていて、曲を作るようになって、ジャズとかを聴き始めるようになったり。
菊池
いろんな要素を取り入れていく感じですよね。
山崎
そうそう。だから菊池さんはきっと基礎が面白い。
菊池
そういえば。幼稚園の頃、何故か子供部屋にでっかいエレクトーンがあって。
父親に習わされて。エレクトーンって足も複雑なんですよ。確か。
山崎
あれ、すごいですよね(笑)。
菊池
もう思い出せないんですけど、でもエレクトーンが嫌で。なんでエレクトーンなんだって(笑)。
山崎
エレクトーンって、手も足もすごくて、ダンスしているみたいに弾くイメージ。
菊池
そうそう(笑)。
山崎
お父さん、エレクトーンを習わせるなんてユニークだなぁ。
菊池
僕は全然おもしろくなくて。
山崎
ふーん。そういえば、初期の頃、エレクトーンの方がライヴをしに来てくださってた時期があって。 エレクトーンを持ち込むんですけど。
菊池
えっ、エレクトーンを!?
山崎
そうなんです、すごいんですよ。業者の方を頼んで。
菊池
わははは。
山崎
もう大変なんです。ライヴ後も持って帰れないから、次の日に業者さんが取りに来て。
菊池
すごい。その意気込みは本当にすごい。
山崎
熱意がすごいですよね。
菊池
今も活動されているんですか?
山崎
それがわからなくて。途中で連絡取れなくなっちゃって。
菊池
すごいなぁ、エレクトーンソロ!
山崎
すごいですよ、だってブッキングで35分間の為にエレクトーンを運んでくるんですから、それだけで感動です。
何万もかかるらしいんですよ、運搬に。
菊池
そりゃ、そうでしょうね(笑)。辿りたいなぁ、その人。
山崎
いつも悩んでました、運搬にお金がかかりすぎるって、、、
菊池
(爆笑)伝説ですよ、それ。ワンマンで2時間がっつりとかなら、まだわかるけど、35分の為にってすごいな〜 やっぱり、続けてると色んな人に会えるんですね〜。
山崎
そうですね、続けていると面白い人とか変な人に会えますよね。
菊池
お店やっている人もだいたい変わってますよね。みやこさんも。
山崎
私、変わってるかな・・・(笑)。菊池さんのバランスは面白いですね。冷静な部分もすごくありますよね。
完全に飛んじゃってるか、バリバリのやり手かっていうのは、よくいらっしゃる気がしますが、菊池さんは真ん中ですね。
菊池
どうなんでしょう。飛び過ぎてる人は苦手かも。変に視野が狭い感じがしちゃって。
山崎
それはそうかもしれないですね。かといって、あまりバリバリでかっちりしてても、すごいなとは思うけど、魅力はあまり感じなかったりするんですよね。両方あるのがいいですよね。隙がありそうでない、みたいな。菊池さん、クッションみたいですもん。
菊池
クッション?(笑) 。お店やっていると、理想像ってあるじゃないですか?そこは譲れないけど、それ以外は出来るだけオープンでいたいなぁって。
山崎
譲れないところさえ守れればって感じですね。一度、社会人の経験があるのがいいのかもしれないですね。
菊池
そうかもしれないですね。
芸術的なものって、基本的に肯定するより否定するところから入る悪い癖が僕にはあって。それでも良いなって思えるものが自分なりの本物なのかなって思うようにしています。
ぱっと見、なんかすごいなぁって思うけど、一旦冷静になって、これを一週間ずっと見続けたとしてどう感じるんだろう、、、みたいな、ちょっと冷めた部分も持っています。なんだろう、自分なりに見極めたいって気持ちなんですかね?
音楽も一緒ですね。あっ!なんか良いなって思っても、本当に自分がどれくらい思っているだろうって。 昨年リリースしたEveちゃんとは、出逢って一年半くらいになるのですが、その間、他の誰よりも聴いてきたのですが、全く耳飽きないのが本当にすごいなと思っていますね。
山崎
Eveちゃんは魅力あふれてますね。観るたびにどんどん変わってるし、どんどん魅力が増してる。楽しみですね。
菊池
そうそう、話を戻すと、そうやってレーベルの真似事みたいなことをしていたんです。それで、大学を卒業するにあたって、何を思ったか、僕はこれでやっていく、って思って。就職もせず、2年くらいフリーターみたいな事をやったんですが、レーベルをやるには、それなりに資金が要るんだなって。CD作るにしても何十万も必要だった時代でした。
それで就職をして、6〜7年働いて、ある時、フッと通帳を見たらそれなりに貯蓄がたまってたんです。
山崎
そこがすごい。前もお話聞いた時に、気付いたら貯蓄がたまってるってすごい!と思いました。
菊池
会社が本当に忙しくて、遊びに行けなくて。
山崎
朝から晩まで働く感じ?
菊池
長いってよりは、休みなくって感じですね。土日は休みだったんですけど、レーベルがやってるレコード屋でバイトしてたんです。少しでも勉強しようと思って。あまり参考にもならなかったんだけど(笑)。そんな生活が続いて。
山崎
あはは(笑)。でもすごいな。情熱的だなぁ。
菊池
とりあえず、いろいろ知らなきゃって思って。むしろ、こうやっちゃいけなんだなって(笑)。反面教師的に勉強させて貰いました。
それでお金も貯まったし、そういえば音楽のお店やりたいなって思っていたなって、他人事みたいな感じですけど、そんな気持ちを思い出して、脱サラをしたんです。
山崎
ほぅ。
菊池
それで、なんで三鷹かっていうと、この場所はもともと早稲田文学の関係者がやられていた、文学バーだったんです。
山崎
そうそう、文鳥舎ですよね。
菊池
あ、行ったことあるんでしたっけ?
山崎
そうなんです、私、以前この近所に住んでいたことがあって、文鳥舎さんには来たことがありました。
いっぱい本が置いてあって素敵なお店だなぁと思って。そもそも私は太宰治がすごく好きなのですが、三鷹って太宰治とは関わりが深いので、それもあって三鷹という土地が好きだったんです。
菊池
なるほど〜
山崎
なので、文鳥舎さんは好きでした。
菊池
僕はそんな常連ではなかったんですけど、月に1、2回来ていて。この度閉店しますって話を聞いて、それじゃ最後の日に飲みに行こうって友達誘って来てみたら、閉店後の貰い手がいないから取り壊すって話になっていて。
僕は脱サラしているタイミングだったし、ちょうど物件を探していたんです。と言っても、三鷹は絶対無いって思っていて、一切考えてなかったんですよ。音楽文化もないし、絶対不利な土地だなと思って。 やっぱり吉祥寺とか、音楽が根付いているところが賑やかで楽しいかなって思ってました。単純に。でも吉祥寺の物件を見て高いなって。保証金の金額を聞いて、ふざけんなよって(笑)。
山崎
保証金すごいですよね、吉祥寺は。
菊池
やっぱり見ました?
山崎
はい、私もやっぱり最初は吉祥寺で物件探して、もうぶっとんじゃって。
菊池
何様だよ!って位の金額ですよね(笑)。
山崎
そうですね、阿佐ヶ谷なんて吉祥寺に比べたら全然安い。
菊池
でも正解ですよ、阿佐ヶ谷で。
それでも、やっぱり三鷹でやるつもりはなかったんですが「壊します」って聞いて、なぜか「じゃ、僕が貰います」って、その場で言っちゃったんですよね(笑)。なんか、直感で。
山崎
直感、重要ですね。
菊池
で、店主と外に出て、リアルなお金の話をして(笑)。
山崎
わー、うそ(笑)。ドラマみたい。
菊池
具体的な金額を言われて、それなら僕もOKですって。で、その次の日から、ここが僕の店になりました(笑)。
山崎
わはは(笑)。もうそこのストーリーだけで映画になる。
菊池
(笑) 。ライヴハウス始める方って、ある程度ライヴハウスで働いてから、独立したりするみたいじゃないですか?
だから、コネクションがあるし、最初から軌道に乗せやすいのかなとは思うんですけど、僕はミュージシャンの友達もいなかったし、本当にゼロだったから、3、4か月やってダメなら引き上げようと思っていました。 自分がやってみたかったことを試しにやってみて、ダメならそれはそれでっていう軽い気持ちだったと思うんですけど。 でも本当にお客さん来なくて(笑)。
山崎
いや〜、来ないですよねぇ(笑)。
菊池
オープン初日に看板だけ出して、そっと開けたんです。開店祝いのお花とかも無く。当初は昼から開けていたんですが、70〜80代くらいのおじいさんとおばあさんが7、8人やって来て、店内ウロウロ物色して、いきなりバーカウンターの中に入りだしたんですよ。「おいっ!」って思って(笑)。
山崎
ぎゃははは。
菊池
いきなりですよ、ほんとに。カウンターの中ですよ。えっ、そこ入っちゃいけないじゃんって思って。
山崎
カウンターの中は入らないですよね(笑)。
菊池
店内をうろうろと一回りして、ここ良いわねぇ、とか言って。 「ここでお歌の発表会、出来ますか?」って。もう全く僕のイメージしていた客層と違いすぎて、面白かったですけど(笑)。
山崎
もう、面白すぎる(笑)。カウンター入っちゃうし。
菊池
人生の先輩とはいえ、不届き者だなって思ったし、そういう人が来るとは想像していなかったけれど、取りあえず、何かやらなきゃって思って、大丈夫ですって言いました(笑)。
山崎
(笑)。
菊池
それで、連絡先渡したんですけど、それから何も連絡来なかった(笑)。
山崎
えっ!来なかったんだ(笑)。
菊池
それが最初のお客さんだったから、これは本当に気合入れてやらないとダメだなって思って(笑)。
山崎
オープンするにあたって、知り合いの方とかにこういうのやりますって連絡しなかったんですか?
菊池
オープン日が決まった時に連絡しました。僕の携帯に入ってる友人に。でも、僕がそんなことやりたいとか一言も言ったことなかったから、みんなビックリしていました。音楽関係の人は殆どいなかったけれど、沢山遊びに来てくれて。嬉しかったですね〜
山崎
私も全く一緒ですね。同じ感じです。菊池さんが初めてです、何もないまま始めた人。
菊池
僕も、同じ人がいた!って思って。すごく興奮しましたよ。嬉しいです。
山崎
菊池さんのすごいところは、オープンと同時に「半年やってダメかもしれないから、その時はあきらめよう」っていう、冷静な気持ちを持てていたところですよね。
菊池
借金してまではやらないって決めていて、貯蓄が尽きたらゲームオーバーかなって思っていました。
山崎
私はもっと幼稚で、始めたからには意地でもやるんだ!って意気込んでて。ミュージシャンの知り合いもいないくせに。 本当に全く知り合いがいなかったから、なんでそれでやろうと思ったのって質問を何度も受けましたね。
菊池
くくく(笑)。でもその意地があったから10年も続いてるんじゃないですか?
山崎
意地しかないですよね(笑)。知識も知恵も何もないから。
菊池
情熱ですよね。すごいと思います。僕は当初そんな情熱はなかったです。本当にゼロからのスタートだったので、お店があってもなくても、誰も困らないなって(笑)。店への情熱に関しては、今の方がありますね。断然。
お店を必要としてくれる人がいるって分かってきて、頑張んなきゃって思うようになりました。
山崎
それにしても、そのオープンした時のエピソード、最高。
菊池
みやこさんも同じじゃないですか。
山崎
私は一応、オープニングイベントをやったんですよ。お店の内装工事に1ヶ月半とかかかったと思うんですけど、その間に慌てて、吉祥寺の路上とか行って、歌ってるミュージシャンに声掛けたり。
菊池
わははは。すごい。
山崎
だから、お店の工事の間は、毎日のように路上へ行ってました。路上をぐるぐる回って。で、吉祥寺に屋台があるんですけど、休憩で一杯やりながら、屋台のお客さんにも今度お店やるから、路上で良い人いたら捕まえといてって(笑)。 実際、そこの屋台のマスターに2組くらい紹介してもらったんです。
菊池
情熱ですね。
山崎
お店をやるってことをあんまりちゃんと考えてられてなかったから、人の力をとっても借りて。
お店始めてから、ミュージシャンの知り合いがたくさんいないとダメなのか、、、って気付いた(笑)。
菊池
自分は人様の前で歌える器じゃないし。お店の店主って、歌える人が多いみたいじゃないですか? 僕も歌えないし、みやこさんも歌わないし、シンパシーを感じました(笑)。
山崎
感じ方が全然違いますもんね。
菊池
そうですよね。ある意味、客観的に観察できますよね、お店を。
山崎
それは最初はコンプレックスだったんですけど、今となっては良かったと思っています。 最初はやっぱり、出演者さんの言うことが全くチンプンカンプンで。例えば、ピアノでも「これ、調律いくつ?」って聞かれて、「えっ、調律がいくつってどういうことだろう、、」って。だから、最初のうちは音楽やってないからダメなんだろうなぁって思ってました。
菊池
いや、だから僕はこうやってみやこさんと話せるんだと思うんです。 自分が歌う人間だったら、お店なんかやらないで歌いたいですもん、色んな場所で。
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